「ご無沙汰」の意味を知り、ご無沙汰の手紙の書き方とその文例

tegami

目次

ご無沙汰とは?

「沙汰」と聞いてその意味がとっさにわかりますか?わからなくてもどこかで聞いたことがありませんか?時代劇を観ていて「追って沙汰を言い渡す」という大名の言葉であったり、「地獄の沙汰も金次第」だとか「正気の沙汰ではない」など。何となくわからなくもないけれどもよくわからない言葉って身の回りにあるものです。手紙を書くときによくやりとりする言葉で「ご無沙汰」という言葉があるので、それではその「沙汰」を知った上で「ご無沙汰」の手紙文について調べてみましょう。「沙汰」という言葉には「消息」や「便り」という意味があるそうです。『広辞苑』によりますと。「沙汰」とは思ったよりも多くの意味があるそうで、「物の精粗をえりわけること」、「理非を論じきわめること、評定、裁断、訴訟」、「政務を裁断・処理すること」、「定めること、処置、取扱い」、「主君または官府の指令・指図」、「たより、しらせ、報知、音信」、「評判、うわさ」、「行い、しわざ、事件」と、出てきます。「ご無沙汰」の「沙汰」は、「消息」や「便り」のことであり、「ご無沙汰」といいうのは消息や便りがないことを意味します。このような仲なのに礼儀に反して、消息や便りを密にしていなかったことを謝罪する気持ちが込められた表現なのです。しかしながら現在では、そこまで厳密な非礼だという重い意味ではなく「お久しぶりです」という気持ちと同様に「ご無沙汰しています」と使われるのが一般的になっています。

ご無沙汰のお詫びの手紙

現代では「ご無沙汰」をそう重大なお詫びをするようなことと捉えられてはいませんので、手紙の中でもご無沙汰をお詫びするという言葉を入れたとしても、くどくどと色々な言い訳をすることや、弁解をすることは止めましょう。先方はそれほどの事とは思っていないのですから。そのための手紙であり、これが近況報告になればこんな嬉しいことはないのですから。しばらくぶりに最近はどうしていたのか、どんな事があったのか、こちらの様子を思い浮かべて安心していただくような楽しい手紙を書くことが、相手にとって何より嬉しいことですから。なかなか手紙を書くことができなかった正直な理由を書き、誠実にお詫びをすることで信頼していただけることでしょう。正直な理由を書くということでは、私なら、「筆不精なもので、日常に忙殺され、なかなかお手紙をしたためることが出来ずにおりました。ご無沙汰をお許しください。」と心から詫びてしまいます。

ご無沙汰のお詫びの手紙文例

では、ご無沙汰をしている場合、先方にお送りする手紙にはどのような言葉を使ったら良いか、短い文例をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。

・前略 ご無沙汰いたしまして申し訳ありません。

・長らくご無沙汰致しまして、失礼の段、どうぞご容赦ください。

・ご無沙汰しております。皆様、お元気でいらっしゃいますか。

・ご無沙汰です。みんな元気にしていますか。

・ご無沙汰ですね。私は相変わらずですが、そちらはお変わりありませんか。

・ 長い間ご無沙汰してしまいましたが、ご家族の皆様はお元気でいらっしゃいますか。

目上の方へのご無沙汰の手紙の例

それでは目上の方に日頃お手紙を出し辛く、ついご無沙汰をしてしまった場合の手紙の例をご紹介します。

「拝啓 盛夏の候、山田様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

折にふれて近況のご報告をと思いながら仕事に追われ、ついご無沙汰をいたしまして申しわけございません。おかげ様でこの不況の中でも私の仕事は順調に進み、妻も家事や育児に追われながらも元気で過ごしております。長女は先月で満3歳の誕生日を迎え、すくすくと育っております。

まだまだ暑い日が続きそうですが、ご自愛のほどお祈り申し上げ、お詫びかたがたご報告申し上げます。 敬具」

この文例は、例えばこの夫婦の結婚の際にお世話になった方(ご夫婦)、結婚式の際の仲人役をお願いした方と想像して読んでいただけると一層わかりやすいでしょう。手紙が苦手な上に、目上の方への手紙ともなるとマナーに叶っているかを考えるとつい書きそびれてしまいます。それを仕事にかこつけてご無沙汰のお詫びとしています。それでも手紙のマナーにも反することなく、先方の知りたい情報、ご自身の仕事や健康と妻の家庭での様子、子供が成長している様子なども短い文章で盛り込んでいます。これだけでもとても良いご無沙汰の詫び状になりませんか。便箋に書くまでもなく葉書で十分です。このような手紙を気軽に書けるようになったら、「ご無沙汰の詫び状」ではなく、「季節の挨拶」を葉書に書いて、コミュニケーションを保っていくのも素敵な大人のマナーではないでしょうか。

この記事を書いた人